元田久治(1973- )《Indication-Tokyo University 3》2007 年、リトグラフ

 

作品のブログ

作者の元田久治氏は、国内外のランドマークや都市の建物が風化し、壊れ、自然に戻っていく過程を多く描いている。例えば2011年の作品’’FORESIGHT-GOLDEN GATE BRIDGE(SAN FRANCISCO)’’では、アメリカのサンフランシスコの海に架かる巨大な橋、「ゴールデンゲートブリッジ」が倒壊し、ズタズタになっている。また2008年の‘’INDICATION-DIET BUILDING, TOKYO 3’’では、日本の国会議事堂が樹木と黒い泥に半分包まれ、建物の上半分が見える状態にある。さらに同作品では国会議事堂の周辺は全て真っ黒な大地が広がっており、それ故に東京の大都会は土に還ったと判断される。こうした「都市が荒廃して自然に還る様」を元田氏が描く背景には、熊本出身の彼が感じた大都会の風景への違和感が影響している。

 FORESIGHT-GOLDEN GATE BRIDGE(SAN FRANCISCO)2008年。


          


           






’’INDICATION-DIET BUILDING, TOKYO 3’’2007年。




本作品も例に漏れず、東京大学の安田講堂の建物が半壊し、巨大なツタ植物が覆い、自然化が進んでいる。しかし一方で、手前の中庭や後ろに見える建物も荒廃せず、そこにはごく普通の都市の日常が残っている。この日常と非日常の対比が、安田講堂の自然化をより一層強調している。



《Indication-Tokyo University 3》2007 年。


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