吉原英雄(1931-2007)《短毛犬(版画集『ペットショップ』より)》1978 年、リトグラフ


 「版画集『ペット・ショップ』より 短毛犬」は、現代日本の版画家である吉原英雄(1931-2007)によるリトグラフ作品。吉原は広島県因島市に生まれ、大阪市立美術研究所で絵画を学んだ。吉原が版画を制作するようになったのは1950年代後半ごろからである。

版画における吉原の表現は、1965年ごろからリトグラフと銅版の併用、1970年代はリトグラフもしくは銅版のみの使用、さらに後年はリトグラフや油彩を用いたモノクロームへと変遷する。1978年制作の当作品はリトグラフのみが用いられており、上記の「1970年代のリトグラフもしくは銅板のみの作品」にあたると考えられる。

当作品では、描かれる視点や線の濃淡が異なる複数の犬が描かれている。同一のイメージを反復しているはずだが、その切り取られ方や描き方によって私たちに与える印象が全く異なっている。「イメージの反復やズレ」という吉原の一貫した追及が現れた作品であると考えられる。なお版画集『ペット・ショップ』はリトグラフ6点、銅版6点の計12点から成り、19792月に出版されたものである。

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