原健(1942- )《STROKES 74-11》1974 年、リトグラフ
「STROKES 74-11」は1974年に原健によって制作された。原は1942年に名古屋市で生まれ、「STROKES」シリーズや「飛華・ASUKA」シリーズを発表した。現在は東京造形大学名誉教授であり、個展を全国各地で開いている。
展示に出品された「STROKES 74-11」という作品は、タイトルの通り手や腕の一振りの動きを表現したものであり、丸みを帯びた末端から始まる線の形状や色の明度・彩度などからその動きを感じ取ることが出来る。描き始めから描き終わりまで、思わず指でなぞってみたくなる作品ではないだろうか。しかしよく見てみると、薄くなっていくと思われた線や一見描き終わりと思われる部分は高彩度、高明度の鮮やかな色に戻っていることが分かる。彼によると、移り変わる色たちは「ともに価値づけがなされ、つまり片ボカシと言われる方法ではなく同質な色価として、ヒエラルキーのない状態であることを願っています。」ということであり、その表現を実現させている鮮やかな色から色への繊細なグラデーションは、作品に用いられている「リトグラフ」という版画の技法ならではのものだ。ストロークという腕の軽やかな動きや、鮮やかな色彩が、見るものに躍動感を与えてくれる作品である。
参考:https://www.takeshihara.com/work-strokes/
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