【オリジナル記事】見るものすべてがアート~金沢21世紀美術館
皆さんは美術館というとどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?特別芸術に興味のない方であれば、暗い、静か、堅苦しい、鑑賞しても作品が理解できないというネガティブな印象を抱いている方が多いかもしれません。
しかし、芸術を見るときは必ずしも対象を完全に理解する必要はありません。日本を代表する評論家である小林秀雄などが指摘するように、芸術を見るうえで大切なのは論理ではなく感動、すなわち感情が自然と動くことにあるのです。今回紹介する金沢21世紀美術館はまさにそんな「感動」を体現する美術館なのです。
金沢21世紀美術館は2004年に現代美術を収蔵する美術館として建てられました。妹島和世+西沢立衛/SANAAによって設計された円形、銅ガラス張りが特徴的な建屋はどこ
からも正面として入場できるようになっており、コンセプトであるである「まちに開かれた公園のような美術館」を体現しています。
公園というコンセプトにふさわしく、屋外には自由に鑑賞し遊ぶことのできる美術作品、遊具が置かれています。代表的なものをいくつか挙げてみます。
『カラー・アクティヴィティ・ハウス』は色の三原色の色ガラスの壁が一点を中心に渦巻き条のパビリオンを形成する作品で見る場所や何に入っている人や物によって色合いが変化する人気のフォトスポットです。
『ラッピング』は中に子供が入って遊ぶことが出来るように設計されたパビリオンで、パイプとメッシュによって作り出される透過性が魅力的です。
現代美術というと、何かよくわからない抽象画、意味不明なインスタレーションなど、絵画、彫刻、工芸などそれ以前の芸術作品よりもアレルギーを感じる方も多いかもしれません。現代美術の生みの親、マルセル=デュシャンによれば現代美術は「作品を起点として鑑賞者が思いを巡らし、そして鑑賞者の中で完成される」ものと定義されます。要するに捉え方に正解はなく、作品を見て生まれた各々の感情によって作品は完結するのです。つまらないと思えば素通りするもよし、少し興味を惹かれたらさらに思索を巡らせるという見方でもよいと思います。
実際に金沢21世紀美術館に足を運んで、その論理ではなく人間の奥底の感性に直接訴えかけるような作品の数々を鑑賞し、美術に対する高尚で堅苦しいイメージを払拭していただければ幸いに思います。
参考
・金沢21世紀美術館https://www.kanazawa21.jp/
・This is Media「現代アートとは?アートの歴史から見る現代美術の楽しみ方」https://media.thisisgallery.com/20220290
R.S
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