【コラム】現代へと受け継がれる日本の版画
日本の印刷・版画の歴史は非常に長い。
木版印刷が伝来したのは飛鳥時代にまで遡る。飛鳥時代には、木版による経典の大量印刷が行われた。法隆寺の「百万塔陀羅尼」が木版印刷の最古の例とされている。
平安後期には「末法思想」が流行したことで、仏の姿も描かれるようになり、木版印刷は木版画へと移行していった。
鎌倉時代・室町時代には経典や漢文学を複製した木版印刷物が盛んに生み出された。多くの書物が生み出されたことにより、文字木版の技術向上が進んだ。
江戸時代には木版画(木版印刷の一種)である浮世絵が栄え、葛飾北斎や歌川広重など有名な浮世絵師が活躍した。絵師、彫師、摺師が分業することで1つの作品を完成させた。
明治時代になると、機械による大量印刷ができるようになったため、伝統的な浮世絵版画は衰退していった。しかし、出版業界や職人により浮世絵の近代化、復興を目指した「創作版画」や「新版画」が生み出された。
現代でも伝統的な技法を用いた木版画は存在し、復刻版が制作されている。日本の版画は新たな技術の登場により危機的な状況に陥ったが、伝統的技法が失われないような努力がされ続けてきたのである。ぜひ一度伝統的な版画を手に取って、歴史を感じてみてはいかがだろうか。(N.T)
参考
竹笹堂「日本の木版印刷・木版画の歴史」
(https://www.takezasa.co.jp/mokuhan/mokuhan02.html)
木版画 – Wikipedia
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E7%89%88%E7%94%BB)
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