【コラム】「博物館の常設展」
普段の生活の中で博物館や美術館に関連する情報を目にするとしたら、それは特別展に関するものではないだろうか。各館は特別展について、ポスターやチラシ、SNSなどを活用した宣伝を行っており、それをきっかけに博物館や美術館へ赴く利用者も少なくないだろう。今回は、特別展と比較してあまり宣伝を目にしない常設展についてご紹介したい。
多くの博物館・美術館は、主に各館の収蔵品で構成された常設展を有している。その場所を初めて訪れる時には常設展も含めて全ての展示を見て回っても、特別展の度に博物館や美術館を訪れるようになると、徐々に常設展へは足が向かなくなることもあるのではないだろうか。しかし、それはとてももったいないことである。
研究や教育などと並んで、収集は博物館の主要な活動の一つである。博物館は寄贈を受けたり購入したり、様々な方法で新しい資料を収蔵し、研究し、そして公開している。常設展には、博物館で行われている収集や研究の活動が多く反映されているのである。
常設展に力を入れている博物館は少なくない。「常設展」あるいは「コレクション展」のような同じ名称で展示されていたとしても、その中身は一年の中で入れ替わり、変化していることが多いのである。例えば名古屋大学の学生証を提示することによって無料で観覧が出来る四つの博物館・美術館についても、全て一年の中で複数回、常設展の入れ替えが行われている。徳川美術館に関しては約一ヶ月ごとの入れ替えと、かなり頻繁である。一度訪れた博物館の常設展であっても、中身が変わることでまた別の資料を楽しむことが出来る。もちろん、会期中であれば見たことのあるお気に入りの資料を楽しむことも可能だ。博物館の常設展は、一度見て終わりにしてしまうにはもったいない、魅力の詰まったものである。訪れたことがある博物館であっても、定期的に赴き、常設展を観覧することを強くおすすめする。
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