【オリジナル記事】岡山県のおすすめ博物館、「つやま自然のふしぎ館」について

 皆さん、岡山県に足を運んだことはありますか?

この記事を書いている私は岡山県出身です。岡山の美術館・博物館といえば、日本最初の私立西洋美術館である大原美術館が有名かと思いますが、岡山には他にも面白い美術館や博物館がたくさんあります。今回は岡山県津山市にある自然史総合博物館「つやま自然のふしぎ館」をご紹介します。


(撮影:筆者)


「つやま自然のふしぎ館」の大きな特徴として、動物の実物はく製標本が800体ほど展示されていることが挙げられます。ワシントン条約が発効される前に蒐集されたキンシコウやインドライオン、ホッキョクグマなど、貴重な動物のはく製も数多く展示されています。


(撮影:筆者)

動物のはく製以外にも、世界各地の蝶類、昆虫類、貝類、化石類、鉱石・岩石類などの標本をおよそ22,000点も所蔵しており、それらが所狭しと展示されています。


(撮影:筆者)

それらに加えて、今はもう亡き初代館長の脳、心臓、肺、肝臓といった様々な臓器の実物がホルマリン漬けになって展示されているのもこの博物館のすごいポイントです。初代館長本人の希望でそのようになったらしく、本人の遺言までもが展示されています。

また、この博物館には様々な月齢の胎児の実物標本もあります。これらの標本は館員さんに声をかけると奥の部屋でそっと見せていただくことができます。標本になるに至った背景を考えると少しショッキングな展示かもしれません。しかしこれらの標本からは、図解だけでは伝わりづらいような、それらの質量や質感なども学ぶことができます。生命について改めて考えることができる展示であると私は考えています。

そして何よりも私が好きなのは、展示の仕方や解説がユニークで笑わずにはいられないという点です。


(撮影:筆者)


      

画像引用:「つやま自然のふしぎ館 中編」sogensyookuのブログ, https://sogensyooku.hatenablog.com/entry/2020/09/22/203825 (最終閲覧日:2022824日)

      

「なんと、北極出身のクマと南極出身のアザラシが津山で前代未聞のご対面です!!この感動をあなたに!!」という文面の強さ。私はこれを初めて読んだとき、涙が出るほど笑ってしまいました。当時の私は笑いすぎて写真を撮るどころではなかったようです。

キリンは大きすぎて、座らせないと展示ができません。


        (撮影:筆者)          

手書きパネルも昔ながらで味があります。


(撮影:筆者)


展示室が全15室もあるのですが、なんせ標本数が膨大なため、全体的に混沌とした雰囲気がこの館全体に漂っています。

都市部の博物館のような、分類や動線、視線誘導等に配慮した展示とは程遠いです。全部の展示を見ていたら時間もかかります。博物館の展示としてはふさわしくないのかもしれません。ですが、そこが大きな魅力でもあるのです。

情報量に圧倒されたり、展示や解説に笑ったりしながら楽しめて勉強にもなる。テーマパークのような博物館、それが「つやま自然のふしぎ館」です。

岡山県の中心部からやや遠く、アクセスが悪いのがネックではありますが、とてもとても面白くて素敵な博物館です。岡山県に来た際にはぜひ行ってみてください。

 

N.M

参考:「つやま自然のふしぎ館ホームページ」, 公益財団法人津山社会教育文化財団, http://www.fushigikan.jp(最終閲覧日:2022824日)


コメント

このブログの人気の投稿

鍔本達朗(1952- )《In Black 85-5》1985 年、リトグラフ

東谷武美(1948- )《日蝕 O》1985 年、リトグラフ

【コラム】自宅でできる!対話型鑑賞