【コラム】知らない場所で、新しい何かに触れる。
旅は、好きですか?
私は旅が大好きです。それも一人でぶらぶらするか、家族など気が合う僅かな人と行く、小ぢんまりした旅をよくします。元来マイペースな性格で気分の浮き沈みがあるので、修学旅行のような大人数でワイワイする空間はどうしても気を張りすぎてしまうんです。自分のペースで旅をすると、日常から離れてとても開放的な気分になれます。そして、旅の中で、一通りの観光スポットと並んでほぼ確実に訪れるのが、その土地の歴史や生活文化を体感できる博物館です。
実は、私にとって旅の途中で博物館を訪れるのは、かなりハードルが高いことです。一人旅のときは都合さえ合えば行くこと自体はできますが、自分の好みに合っているか滞在時間の見積もりを間違えると、その後の予定や気分に大きな影響が出ます。これが複数人での旅となるとさらに難しくなります。そもそも相手は博物館に行くことが好きか、好きとしても短時間がいいか長時間がいいか、好きなテーマの展示をやっているか、といろいろ考える必要があります。私は、時間や周りの人への配慮に追われることがそもそも得意ではないため、普段から気疲れすることも多いのに、旅でも同じようになるとさらに苦しくなってしまいます。幸いにも私の家族は歴史や美術などが好きで私の性格にも理解があり、博物館に行くことを楽しみにしてくれています。ある日、いつものように家族旅行の計画を立てていたら、家族に「スケジュールは任せたよ。今度行く場所にはどんな施設があるの?」と声を掛けられました。
では、そこまで苦労をして、なぜ旅先であえて博物館を訪れるのか、と思われるかもしれません。私も時々考えることがあります。しかし、理由はいたって単純です。
「知らない場所に行って、新しい何かに触れることが好きだから」
これは、そもそもなぜ旅が好きなのか、という質問をされたときの答えでもあります。知的好奇心を満たす、とも言えるかもしれませんが、ただ単に新しいことを学ぶだけなら本を読んだりインターネットで調べたりするだけで十分だと思います。ここで大切なのは、「知らない場所へ行く」ことと、「新しい何かに触れる」ということは、家にいるだけ、学校にいるだけ、職場にいるだけでは絶対に不可能だということです。そして、苦労して行った先にある博物館での時間が、私にとっては何より幸せなものであるといえます。
(執筆者:M.I.)
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